グレードダウンの提言

そろそろシーズンが始まるわけですが、ちょっとその前に提案しておきたいことがあってブログを書いている。

実はいくつかの課題のグレードの見直しを提言したい。





少し前置きをすると、僕は初登者はグレードの見直しにあまり関与すべきではないと考えている。

理由は主に2つ
1. 初登時に”正しい”グレーディングを行うことが難しい
2. グレードの見直しに客観的な立場で参加することが難しい



1.については、開拓をしたことがある人なら分かってもらえると思うけど、開拓者は後出のクライマーよりも難しめに感じる要因がとても多い。

岩がまだ汚いかもしれないし、ムーブも洗練されていないかもしれないし、下地もまだ踏み固まっていないかもしれない。

その後その課題を登る多くのクライマーが感じるであろう「正しいグレード」を初登者が体感するのは難しい。



2.についてはそのままで、初登した課題に対しては思い入れがある場合が多いので、その後グレードを動かすことについてどうしても腰が重くなってしまう。ということだ。




僕は基本的に自分のグレーディングには自信がないし、後から登ったクライマーにその課題の正直な感想を述べてもらって、グレードを確定しいって欲しいと思っている。

「初登者にグレードを決める権限がある」というのも分からないではないけど、”正しい”グレーディングを目指す上で、初登者の一存でグレードを決めるというのは、少し荷が重いのではないか。











さて、こんな前置きをしておいてなんだけど、今回見直しをお願いしたい課題には僕が初登した課題も含まれている。

基本的には僕のポリシーに反するので、これまで言えなかったのだ。

ただ、初登者としてではなく、その課題を登った一人のクライマーとして、グレードの見直しが必要なのでは無いかと考えている。





今回の提言をもって課題のグレードが正式に下げられる訳ではない。その課題を登ったクライマーが、これからトライするクライマーが、個々の中で反芻し、自分のグレード感を持ってくれたらと思う。




東の河原 クレイジークレイドル 五段→三/四段
【新しい足の出現】
僕の体感は三段。マテリアルフラワー 四段よりも登りやすく感じた。

ホールドが遠めな内容なので、僕は割と有利かもしれない。








武庫川 Unhidden Heart 五段→四段
【理由】再登者の意見
これは僕の課題なのだけど、再登者の方何人かから意見を頂いた。

この課題に関しては前のブログにグレードに関するコメントを書いたのだけど、忖度なしに意見をくれた方々に感謝申し上げたい。



グレードに関しては正直全くわからないと言うか、体感は四段悪目くらい.

長期の休止明けだしトライ日数も2日なので、普通に考えたら四段って付けるとこなんですけど

ただ同じエリアのOZとか冷酷よりはかなり難しい気がするのと、登れたらV15って言われてたようなのでここで四段を付けづらいのも正直なところ

大ちゃんとも相談したけど暫定的に五段(V14)って事にしておこうと思います.

再登が出て甘いってなったら即グレードダウンする感じの設定です 


サルモネラ登攀日記より


恵那 Viva la Vida 五段→四段

【理由】新しいホールドの使用

小山田さんが初登時に使用していなかったホールドを使えることがわかった。



フクベ いじわる 初段→三段

【理由】とにかく難しい


「突然どこの何の課題だよ」と思われるかもしれない。

フクベのカヤの滝の上にある初段の課題だ。


これは本当に難しかった。体感は四段くらい。


初登者に確認したところスタート位置は間違っていないし、ホールドが欠けた形跡もない。登ったという話も聞かない。


ただその時の自分が弱かっただけなのか、なにかムーブがあるのか、はたまたそういうものなのか、不安で仕方がない。是非トライしていただいて意見をお聞きしたい。







普段クライミングをしていて当然「甘い」「辛い」と感じることはある。それは当然誤差の範囲だし、それには大概何かしらの理由がある。


例えばリーチの問題とか、コンディションの問題とか、ムーブ選択の問題とか、その日の調子の問題とか。



逆にそういった誤差の範囲を超えてしまったものに関しては、何かしらの見直しが必要だと思う。


当然、平均や誤差を求めるのには、それなりの意見が必要だ。だから誰だって意見を言う価値があるし、そうあるべきだと思う。






最後に、こういう話題は僕はあまり好きではない。だから普段あまり話さないし、ブログにも書かない。


自分が納得していればいいし、僕にとって難しい課題であり、それを克服していくことこそ重要だと思っている。


ただ、本当にそうだったら、自分が登った課題にグレードをつけるという行為そのものを辞めていると思う。




グレードを追い求めてきた身として、グレードの大切さというものを僕はよく分かっているつもりだ。


そして”正しい”グレードの大切さも。


そこから逃げてしまいたい気持ちは大いにあるのだけれど、それはそれでかつてグレード体系を築いてきた先人達に失礼な気もするし、これからその課題に取り組むクライマーたちにとっては無責任な気もする。


だから、普段はしないけど、たまにはこういうことも書く。それが必要だと思う限り。