家族で山奥
遂に念願の四国に行ってきた。
昨年のちょうど今頃に行ってから幾度となく行こうとしたのだけど、色々予定が合わずに行けず。撒いた種は指男さんに収穫されてしまった。とにかく通わない限りは種は収穫できない。
今回は昨年の高知同様、父と兄のアテンドという形で行く機会を作ることができた。というわけで今回もあまり攻めたことはせず、既存課題をメインに2日間素晴らしい岩を堪能してきた。
今シーズン中にあと100回くらい行きたい。
12/12
朝5時過ぎに出発して、朝食だなんだしながらのんびり徳島へ。10時頃にエリア到着。
今年は看板課題の下地が出ているということで、今回はペルセウス周辺で登ることに。
適当に下ってペルセウスの前に荷物をおろして、1時間くらいエリアを歩き回ってみた。凄い岩が目白押しで何をやるか迷ったけど、とりあえず既存課題から始めることにした。
ペルセウス
適当にアップしてからまずはペルセウス 三段。大きめのホールドをドッカン繋ぐ課題で見るからに名作。これは問題なくフラッシュ。
そんで次にシャイニング・フィンガー 三段。これまたドッカン系。1トライ目は右手のカチの持つ場所を完全に間違えていて、無抵抗でフォール。2トライ目で完登。
ペルセウスの影に隠れてしまっているけど、こちらもとてもいい課題だった。ラインは近いけど、不自然さはない。
香川のTさんも加わり熱いセションが繰り広げられ、Tさんはペルセウスを、兄貴はペルセウスとシャイニング・フィンガーの両方を登ってた。
次に、ちょちょっと掃除した裏面のハングにトライ。
ガバアンダーから、遠い気持ち悪いポケット取って、そこからリップのガバにランジするという極めてシンプルな課題。1トライ目で見事に足が滑り、下の池に着水した。無念。
兄貴が華麗に一撃し、そこに僕と、後から交流したtop of the topことタカタが続いた。Tさんも見事着水していた。
前面の2つには及ばないけど、ダイナミックでいい課題だったな。
多分初段くらい。
新しいライン2本
続いて対岸の側壁にラインを見つけたのでトライ。掃除した跡があったから登られているかもね。
右手かかりの良い棚、左手悪いホールドでひたすら我慢して進む内容で、前のダイナミックな課題達に比べると大分渋い内容だった。
二段か三段くらいじゃないだろうか?良い強度が続く良い課題だった。
続いて少し下流の居心地の良い岩。
基部にいい感じのスタートホールドがあって、難しそうな下部をこなして、上部は未知。なんだか上部も難しそうだけどやってみるしかない。
下部は手が悪いものの足で色々ごまかして進める。中間部のホールド帯に抜ける辺りのフックが少し気を使う感じでいやらしかった。
上部はもこもこしたホールドが続いて、なぜか全く気が抜けない。悪くはないけど休むことも出来ず、ひたすたパンプさせられる内容だった。
これは二段くらいかな?程よいスケール感と、河原の岩のいやらしさを詰め込んだ内容がいい塩梅だ。
ハイボール
タカタもサラっと登ったので、二人で下流のイケメンな2級をトライしに行くことに。
指男さんがオススメするくらいなのでさぞ凄いのだろうと思っていたら、とんでもないサイズのルーフだった。簡単そうだけど、これは大丈夫なのか?
しかし、この見た目、この佇まい。やらざるを無い!
じゃんけんで勝ったので先にトライ。マットを敷いてもあまり意味が無さそうだし、そもそも落ちどころが無いので二人共ノーマットでトライ。全く心配ないくらいガバガバで、超気持ちのいいラインだった。強いて言うならマントルだけガバじゃなかったな・・・
とにかく素晴らしい課題だった。これですよこれこれ。
これを初登できたらどんなに素晴らしいことか・・・
薄暗くなってきたので、移動してロイド 二段。
これまた中々高い。そして悪そう・・・
オブザベで「使えそう」と思ったホールドはことごとくハズレで、3回くらいトライしたところで完全に降り出しに戻った。
みんなで「あの影はホールドに違いない」とか「あの黒っぽいシミはポケットでは?」とか言いながらトライして、何とかキーホールドを見つけ出し、何とか暗くなる前に登れた。
これ以上ホールドが悪いと不可能系になってしまうけど、足が良いこともあって絶妙な強度に収まっている。なんとも素晴らしい課題だった。
暗くなったのでこの日はこれにて終了。街まで戻ってゆっくり風呂に浸かってぐっすり寝た。
12/13
ちょっと早めに起きてエリアへ。9時くらいに着いて、この日はずっとやってみたかった銀閣から。
谷に日差しが入らないのと、まだ朝なのと、結構風が吹いていて、昨日とは打って変わってめちゃ寒い。これは指が悴みそうな予感。
ちょこちょこ散策しているところでabeトラベル社長も合流して、近くのなめこ 1級からスタート。
珍しい石灰岩のボルダーで、いい塩梅につるつる。形状も相まってかなり面白かった。何本か登ったところで体も温まってきたので本題へ。
銀閣
このエリアの看板課題といえばこの銀閣 二段。圧倒的なスケール感と、言い得て妙なネーミング。登る前から名作なのが伝わってくる。
1トライ目は完全に読み間違えて、行き詰まったので途中で飛び降りて仕切り直し。
もう一回ちゃんとオブザベして、次のトライで登れた。
見た目だけでなく内容もとても良かった。
グランドアップで初登したとのことで、なんとも贅沢なラインだった。
WADEもサクッと登ったので、次は裏の金色夜叉 初段。
こっちはちょっと下地が悪くて怖い。ただホールド自体ははっきりしてるし、ムーブも見たままなのであとは勇気!
気持ちよく一撃した。
社長に誘われて隣のラインにもトライすることに。
いきなり地ジャンして足を張るという、コーディネーションもどきのムーブで結構難しい。
10回くらい飛んでようやく止めるも、その後のコーナーが渋悪い。なんかホールドが全て縦向いてるんですけど?
地ジャンで落ちつつ、ジリジリと高度を伸ばしてゆくも、どこまで行っても悪い。
長期レストを挟みつつ、少しずつムーブを修正して、最終的に指をズタズタにされながらも何とか抜けた。
ビクトリーだと思ってた棚がスローパーだった時は流石に焦ったけど、諦めなくてよかった。精根尽き果てるくらい頑張った良いトライだったな。
羅生門 四段ってことでお願いします。
下地が少しでも上がると簡単になってしまうし、逆に下がると全くできなくなってしまう。ある意味期間限定の課題かもしれない。
文字通り疲労困憊なのでvia Dolorosaに行くという当初の予定は変更して下流に移動。
無次元
またまた社長の課題の無次元 三段にトライ。
これまたイケメンな感じ。どこ行ってもカッコいい課題しかないぞ?
フラッシュトライは中間部のスローパーに跳ね返され、次のトライは上部のスローパーに跳ね返され、3トライ目に全てビシっと決まって登れた。
え?こんなの持つんですか?みたいなホールド達が見事に機能してて、優秀なセッターが作ったとしか思えないような素晴らしい課題だった。贅沢仕放題だ。
続いて右カンテの鍾馗 二段。こっちは結構コンパクトながら、デッド先に棘が生えているという凶暴な内容。
「裂くぞぉ~裂くぞぉ~・・・・ほぉ~ら裂いた!!」ということで見事に薬指を切り裂かれ、見事に流血。
血が止まったところで何とか頑張って登った。いやはやもう満足です。
それでもまだ時間があるので今度は上流に移動。
釈迦力
これまたやってみたかった看板課題。つるっつるの石灰岩ボルダーに見事に並んだポケット。もうお腹いっぱいですと言いたいところだけど、こういうのは別腹だ。
1トライ目は見事に足が滑り、さもありなんなフォール。2トライ目で登れた。
ガバかと思いきやガバでなく、スローパーと思いきやガバ、みたいにどんどん期待を裏切るびっくり箱みたな課題だった。
続いて隣の涅槃 三段。これは見るからに悪そうで、実際悪い。
スタートから遠い外傾エッジを取って、そこからガバカチ?2本指ポケット?はたまたダブルダイノ?な感じなんだけど、使えそうな形状がツルツル過ぎてなかなか使えない。
兄貴とローテーションしながら色々試して、結局スタート付近の形状を上手く使うムーブを発見し、えいやっ!とランジを止めて登った。
実は上部のハンドジャムが痛すぎて一回降りたんですけどね・・・・・
そして薄暗くなってきたところでダメ押しの普賢 二段。
途中まではホールドがいい感じに繋がっているけど、上部が謎。特にリップ付近は下からだと全くホールドが見えない。
「まぁ何とかなるでしょう」という場当たり的な気持ちでトライ開始。どうも細かいエッジを持って、高いアンダーを返すっぽいということは解ったけど、如何せん高くて怖い。
少し休んで気合を入れてアンダーを返し、リップにデッドを繰り出すも、リップも結構悪くて手詰まりに。一旦撤退。
薄暗くなる中目を凝らしたところ、なんだか持てそうな棚があるので、次のトライで再びリップを止め、「え~いままよ!」と捨て身のデッドをかました。
今回は読みが当たってたみたいで、取り先はいい感じの棚だった。そのままトップアウト。
最後の最後まで痺れさせてくれる良い課題だった。
というところでタイムアップ。
徳島ラーメン食べつつびゅんびゅん戻り、10時過ぎに帰京した。
総括
さてさて今回も素晴らしい課題を堪能した訳だけど、やはり実感したのはグランドアップで難しいハイボールにトライできることの重要性だ。
グランドアップは手間も時間もエネルギーもかかるのでそんなに効率的なスタイルではないんだけど、リハーサルとか事前の偵察を行うよりも良い点もある。
それは「成功の積み重ね」だ。
クライミング、特にボルダリングは極端な言い方をすれば完登トライ以外は全て失敗とも言える。
リハーサルをした場合は特にそれが顕著で、あっという間に全て解明した後に残るのは、難しいシーケンスを繋げるという作業であり、難しさとの対峙のみ。
難しさを追求したい場合はこれが最も効率的と言える。
一方グランドアップの場合はそこに「ラインとムーブを解明してゆく」という手順が生じる。
特に初登攀の場合はそれが顕著になる。
この場合一手一歩の前進は1つの解明であり、そこには明確な成功がある。この一手一歩が持つ意味合いはリハーサルを行った場合のそれよりも大きな意味を持っている。
日頃難しさを追求し、「繋げる」という作業が活動のメインになっている僕にとって、その作業から開放され、一手一歩を解明してゆく楽しさを味わえるこういった機会は本当に貴重だ。
そういった機会がまだ残されていることに感謝し、また大切にしてきたい。