新しい目標を探して

 ブログを更新していない間にかなり色々なところに行ってきた。


オフシーズンということもあり、クライミングとしての成果は全くないが、次のシーズンに向けて新しい目標となるルートを探してきた。


今のところ割と勝率はいいので、9月頃からはシーズンに向けたトレーニングに集中したいと思っている。




瑞牆山

2回ほど偵察に行ってきた。


目的は弁天岩、20億光年の孤独に右に広がる広大な前傾壁。WADEが登ったHumble 5.14aのから前傾したカンテを登ってゆくライン。


実は長野を離れる直前に一度偵察しており、ヘッドウォールの3mさえ解決できれば可能であることは確認してあった。ロープスケール約40m、オールナチュラルでおそらく5.14後半。これをやらない手はない。


20億光年トライしているR/X氏


ということで改めて偵察してきたが、結論として今の自分には全く無理だった。


1回目はフィックスで、2回目はトップロープでヘッドウォールのボルダーパートにトライしたが、全くムーブを解決することが出来なかった。


ホールドは無いわけではない。無いわけではないが、無いと行っても過言ではない。


地上にあれば恐らく通って、数年の後に何とか完成させるレベルだが、ここはアプローチ2時間、プアプロの5.14を登ってきた先にある、ボルダーなのだ。


僕がこのルートを完成させることは出来ないが、全く不可能なものではない。いつか誰かが世界最難のトラッドルートとして完成させてくれることを期待したい。



全く関係のないところで良いボルダーを見つけたりした



そんなことをやっている間に、WADEは長年のプロジェクトだったHumble 5.14aを完成させた。こちらは20億光年の孤独を更に発展させたようなルートで、もちろんオールナチュラル(終了点のみボルト)。中嶋家の不動沢における開拓の集大成とも呼べる素晴らしいルートになった。


まだいくつかプロジェクトが残ってはいるが、これ以上のラインは中々出てこないだろう。父が不動沢の開拓を初めてから約40年。不動沢という岩場の大きな節目となった。




尾鷲

弁天で会ったWAKANA-R/X氏に誘っていただき、2回偵察に行ってきた。


最初はシーカヤックで海側からの偵察を行うという予定だったが、波が高くて湾から出られず、けんじりさん、けーしさんと4人で海水浴をしただけに終わった。


その後、徒歩とドローンによる偵察を行い、だいたいの候補を絞り、2回目の偵察の時に上からのラペルを試みた。


柱状節理ということもあり、とにかく巨大な浮石が大量にあり、生きた心地がしなかった。手当り次第に落としまくり、何とか上部テラスに到着。


真夏日の高温と、土埃の中での重労働ということで既に疲労困憊状態だったが、素晴らしいラインが待っている事を願い、そこから約70mの空中懸垂。


こちらは大当たりで、何とかラインが繋がっていた。


クラックはほとんど閉じているものの、一応上から下まで一本のラインとして繋がっている。掃除やプロテクションの確保など、やるべき仕事は多いが、素晴らしいラインとの出会いに二人で興奮した。


周辺にもいくつかラインを見つけたので、今後の発展が楽しみである。


帰りはダイナミックロープで70m空中ユマール。辛すぎて泣きたくなったが、何とか落石にも合わず無事に帰ってくることができた。


最後に八十八夜のエリアに行き、ここでも目標になりそうなラインを見学。尾鷲ー楯ヶ崎はハードトラッドの宝庫だな。




黒部

テルさんを取材した時に偶然奥鐘山西壁の話になり、さらに瑞牆で久しぶりに会ったコミネっちともその話になり、更にR/X氏ともその話になったため、4人で偵察。


6~7月に2回ほど延期になったものの、8月の頭にようやくチャンスが巡ってきた。


巡ってきたとは言っても、天気予報は悪目だったので、一日弾丸偵察となった。山の天気はシビア。




前日入りして、トロッコの始発で欅平へ。線路沿いに岩壁がいくつかあって楽しい。


駅員さんに確認したところ、今は欅平駅のホームから下に降りる通路は通してもらえないらしい。残念だがより下流からアプローチする必要があるだろう。


今回は対岸からの偵察が目的なので、河原には降りずに登山道を登る。


水平歩道までのつづら折りを脱水になりながら駆け上がり、水平歩道を駆け抜けて、11:00くらいには偵察スポットに到着。


流石にこれまで見たどの岩壁よりも巨大で、とてつもない迫力だった。


特に中~上部岩壁は傾斜が強く、草が少なめでいい感じ。トポとにらめっこしつつ、写真を撮ったりして情報をかき集める。


更に志合谷を降ろうとしたものの、雪渓があり断念。作業小屋まで下る作業道を下降してみるも、最後に懸垂下降しなければならずこちらも断念。地獄の登り返しとなった。


時間に余裕があったので再び対岸から岩壁を凝視し、中上部のラインにだいたい見当をつけたが、それ以上はどうにもならなかった。


というわけで時間に余裕を持って欅平に帰着し、最後に黒部川に降りるルートを下見して偵察は終了。


温泉と美味しい寿司を満喫して帰着した。


こちらは尾鷲よりも更にやらなければならないことが多いし、法律の壁もあるので長期的な取り組みになりそうだけど、逆に言えば今後数年は取り組めるいいプロジェクトとなることは間違いない。








ということで首尾よくいいプロジェクトを見つけることができた。


こういった良い目標が手つかずのまま残されていたことは幸運だったし、とにかく今後が楽しみだ。