ナイトクライミング

 ここ一年間は仕事終わり含め近場にナイトで行くことが多い。


翌日仕事がある場合が多いため、実質登れるのは2~3時間だが、それでも高頻度で岩に触れるのはとてもうれしい。


ここしばらくでナイトで登った主要な課題と、簡単な感想を書いておこうと思う。


恵那

バンガラン (V13)


近場で、アプローチが近く、ナイトでもトライしやすいコンパクトな課題ということで真っ先に思い浮かんだのがこれ。


やりに行ったタイミングが悪く、氷点下の中トライすることになってしまったが、短いので手のかじかみもそこまで気にならなかった。


最初は核心の右手3本指カチからの動き出しが全くできず、「????」状態だったが、持ち方を少し変えたら途端に動けて、いきなりムーブ解決。


核心を抜けた後の簡単なスラブが真っ暗かつ、手の感覚がなくなってしまい危なかったが、ギリギリトップアウトできた。過去一番苦戦した10級のスラブだと思われる。


体感として5段にはかからないような気がするが、ぎゅっと内容のつまった面白い課題だった。



キネティック (V13)

隣の現世をやりに行ったのだが、早々にすっぽ抜けで指皮に大ダメージを食らってしまったので、こちらに目標を変更。


件の反転ムーブは僕には結構狭く、強度的にも呼吸器的にも苦しかった。


精度はいまいちだったが、「これは気合系だな」ということで早々につなげに入り、核心の一手目が止まったトライで、そのまま気合で押し切った。


これまた最後のテツコパートが暗く、またマット外ということもあって非常に恐ろしかった。


川エリアに行ってこの課題をトライする人もなかなか居ないと思うが、皮には優しいので現世のトライが終わった後の追い込みにおすすめ。



下呂

ハグ (~V14)


リーチ系ということでこれはやらないわけにはいかないと思っていた課題。ただ中々トライするタイミングが無く、結局真冬にトライすることになってしまった。


トライ初日はこれまた氷点下の中ムーブだけ作り、2日目は濡れていて早々に撤収、3日目も氷点下だったが、少しだけ寒気が緩んだおかげかホールドの止まりがよく、繋げ3回目で登れた。


件のキョンからのフルリーチムーブが核心かと思いきや、その後が結構悪く、ガバを取っても全く気が抜けない。見た目はぱっとしないが内容はとても面白かった。


ヨクトは人気課題になったが、こちらも人気が出て然るべき課題だと思った。


グレードはリーチに対応してV13~14となっているが、確かにV13程度に感じたのでそんなもんな気がする。



刹那 (V13)


人気課題となったヨクトの隣にありながら、チョークがついているのを見たことがない不遇な課題。


しかしこれまたアプローチが近い、下呂の中では比較的雪解けが早い、一人でトライしやすい高さ、ということでトライすることにした。


実際トライしてみると、これがなかなかどうして面白い。前半は思いっきり保持系なのに対し、後半はスローパー体幹系で全くタイプが違う。そしてずっと悪い。


ちなみにインスタで見た小山田さんのムーブは全く真似できなかった。サイズの違いもあるとは思うが、あれは保持力と体幹とトウフック技術が織りなす一種の神業のように感じられた。


最初は全くムーブができなかったが、やっているうちに少しずつ動きが理解できてきて、何とか初日にムーブを解決。


二日目はこれまた氷点下だったものの強行し、震えながらなんとか登ることができた。


当然隣のヨクトの方がいい課題ではあるが、こちらも十分いい課題だった。



白川

サンクタムの右抜け


サンクタムのルーフにはニクタムという課題があるのだが、これはどうもスタートホールドが取れて消滅したらしい。


ということでサンクタムのスタートからニクタムに抜けるラインを登った。


実は昨年サンクタムをトライした時に隣で指男さんが登っており、その時にムーブはバラしてあったが、宿題になっていた。


途中、狭い挟み込みの状態から遠いアンダーを差しに行くムーブが難しく、ある程度の難しさが続くサンクタムとはかなりタイプの異なる課題だ。


二日目はいがぐりさんとナイトで殴り込みをかけるも、普通に敗退。3日目もそこそこトライして何とか登った。


個人的にはサンクタムよりも難しかったのだが、かなりタイプが違うため比較が難しく、また何となく五段はないような気がした。


指男さんも同意見だったので、暫定的にV13ということになっている。


名前はつけていいとのことだったので「エクスヒューム」とさせてもらった。


けりよ 四段


たろうさんに紹介してもらったプロジェクトライン。多分そのうち公開されるはず。


ハングの真ん中に顕著なガバ穴があり、そこからスタートする既存課題のSDに当たるラインだ。


明らかに悪そうなピンチと薄い外傾カチをどう使うかが問題だが、これがまたうまく使えないような配置になっていてとても困った。


幸いスタート付近にホールドが多く、いろいろ組み合わせを探っていたところたまたま試した組み合わせで突然ムーブが完成し、2トライ目で呆気なく完成した。


ムーブが分かってしまえばそこまで難しくないような気もするが、多分V12程度だと思われる。


プロジェクトラインを譲っていただいた開拓者に感謝したい。



しんに 四段

けりよのハングを反対側に抜けていくライン。


ルーフの中のムーブは強度は高いものの比較的シンプルですぐに解決。ただ簡単だと思っていたリップ付近が意外と複雑で躓いた。


色々試した結果、想定していた右抜けではなく、より難しそうな直登ラインの方が実は接続がいいことが分かった。


雨の後だったため抜けがビタビタだったが、チャンスを逃すまいと繋げに入り、ルーフの中のムーブが繋がったところで、上部のビタビタも強引に突破し完登した。


こじんまりとした課題ではあるが、リップ付近のムーブは面白かった。


濡れていたのでグレードは何とも言えないが多分これもV12ぐらいではないだろうか。