Regret
2024年2月27日
恵那笠置エモーションの右のラインを登った。
このラインは昔エモーションをトライしたときからずっと気になっていて、岐阜の目標が一通り終わったタイミングで満を持してトライを開始した。
この課題はかなり短く、またムーブ自体は4日目には完成していたので、当初はそこまで難しくはならないと思っていた。
しかし、作ったムーブはなかなか繋がらず、8日目にして完全に手詰まりに。
一度ムーブを大幅に改定して、「これなら行ける」というムーブを発見するも、こちらも大苦戦。
最終的にシーズンも終わりに近づいた21日目になんとか登ることができた。
ちなみに、一緒にトライしていた指男さんも、僕が登った翌日に完登した。
ということで、トライは真冬のナイト。雪下ろしをしながら通い続けた。
そう書くと悲壮感漂うけど、トライ中はとにかくとても充実して楽しかった。
この課題をトライしている時、10年前、エモーションにトライしていた頃のことをよく思い出した。
僕は基本ネガティブな人間ので、思い出もネガティブなものが多い。嫌なことばかりよく覚えてしまうのかもしれない。
だた、ここ数年はあまり嫌なことを思い出さなくなった気がする。というか、昔に思いを馳せることが少なくなった。
振り返ると後悔ばかりで、それはそれで仕方がないのだけど、そんなことより今トライしている課題に集中したいし、その時間を大切にしたい。
でも、振り返らないとわからないことも多い。
この課題も、登れてみると意外と簡単に感じてしまい、結局グレードを付けることができなかった。
かかった日数としても六段はあるように思う、あって欲しいと思うけど、結局モゴモゴ言って終わってしまった。
だから、この課題のこともいつかちゃんと振り返らないといけない。
day1
指男さんとナイト。ひとまずスタートとキーホールドのクラックだけ掃除してトライ開始。
上部はひとまずは右カンテに抜けるつもりで、リップ付近は掃除せず。
やり始めるまであまり気にしてなかったけど、とにかく足がない。かなり高い位置に左足があるけど、最初は上げるのにも苦労する感じ。
そんでもって一手目、一番いいところをとりに行くんだけど、案外真上にあって、取った瞬間に身体が回転する。すぐに体重が乗るようにはなったけど、とにかく身体が回転してしまって止まらない。
結局微妙に一手目を止めたところで終了。
day2
一人でナイト。
最初に2手目以降をやるも、全くカンテに届かない。カンテに逃げるどころか、カンテには出れない。
とりあえず上部のホールドを探るべきということでロープを張って降りてみると、意外と真上にいいホールドが複数あった。これは真上にランジかもしれない。
一手目は止まり、しかしやはり寄せが苦しく終了。案外難しいかもしれない。
day3
寒いがとにかくナイト連発。今回は指男さんも一緒。
一手目二手目はなんとかできそうということで、とにかく上部を狙う。
左手で狙えそうなホールドが3つあるけど、右手ガストン気味なので、届いても泊まる気配がない。結局一番近い甘めのエッジが可能性高そうだけど、あまり惜しい感じにはならずに終了。
day4
初めて昼間にトライ。とにかく上を止めることで希望を見出したい。
左手出しは一度諦めて、右手出しを試すとこれがビンゴ。一番いいところを左手でピンチすれば案外簡単に止まることが分かった。
クラックに入ってから何手がある部分がいやらしいけど、これで一通りムーブは解決したことになる。素晴らしい。
下から繋げて、なんとか3手目出しまではいけた。あとはとにかく攻めるのみ。
day5
とにかく寒く、かつ雪が降っているけど来てしまった。なんと-4℃。マットにも雪がついてくる。
とはいえ短いので一応トライはできる。とにかくやるのみ。
コンディション的にも微妙かと思いきや、3手目がぎりぎり止まって、4手目タッチまでいけた。あと少しだ。
最終的に足先の感覚がなくなって終了。
day6
前回よりマシかと思いきや、べらぼうに寒い。なんと-6℃。一応各ムーブはできたものの、繋げたら二手目も止まらなかった。
コンディション的に仕方ないか…
day7
1℃くらいまで気温が上がった。勿論ナイト。
今回もひたすら下から繋げるも、3手目までが限界。とにかく右足を踏んでいられない。少しでも手か足が甘くなると4手目が全然無理。
day4くらいにそろそろいい勝負になってきたと思っていたけど、繋げるととにかく足が難しすぎるということが分かった。考えが甘かった。
とはいえ各ムーブの精度を上げるためには、やり続けるしかない。
day8
今回もとにかく繋げるも、少し湿度が高くて全然無理。霜柱が下にあると、風がない限り下に湿気がこもってしまう。
繋げは諦めて、4手目5手目を繋げようとするも、一手加わるだけで、簡単なランジが全く止まらない。
これは全く無理なのではと思い始め、他のムーブを探ることに。
初期に探っていた左手出しはやはり止まる気配がない。ここで3手目に一気にリップまで飛ぶムーブが少し希望がある感じだった。
day9
2手目のスロットからリップへのランジをとにかく飛ぶ。右足はもちろんのこと、左足の蹴りがかなりシビアで難しい。1時間くらい飛んで最終的に何とか止めることが出来た。
結局このムーブも繋げると無茶苦茶難しそうだけど、手数が2手減った分、足の不確実性が減って希望が持てるかもしれない。
結局1手前からは繋がらず。これも練習が必要そうだ。
右手薬指の関節炎が酷くなってきたので、しばらく離脱することにした。
Day10
2023冬シーズンになった。かなり久しぶりのトライ。
まだ昨シーズンに比べるとかなり暖かい。各ホールドの持ちは昨シーズンに比べるとかなり悪く感じる。
最初にリップへのランジから。足が踏めず、手も持ててないからリップに届きすらしない…
元の左手ピンチからのリップ取りムーブすら全くできる気配がない。ヤバすぎる。
とにかくもっと寒くないとホールドが持てない。特にフリクション系ホールドは全然ダメ。
早速諦めそうになったけど、それでもとにかくやるしかないと、指皮を冷やしながらトライ。
少し気温が落ちて来たところで少しホールドが持てるようになって距離が出てきた。
また、右足の踏み方を少し変えたら一気に右足が踏み込めて距離が出るようになった。
これが良かったのか、なんとリップへのランジが止まった。最初手も足も出なかったのに驚き。
一手目はきつそうだったのでスキップして終了。
あと一日くらい練習と試しに使って、また繋げに入れる気がする。
とにかく指皮と岩のコンディションを合わせられるようにタイミングを見計らって来たい。
Day11
またナイト。まだ気温は4℃程度であまり寒くない。
今回もスタートの左手が持てる気がしなかったので、2手目3手目をとにかく繋げる。
2手目は前回よりもあまり安定感がなく、3手目を飛び出す時に左手でコントロールできない。
また、シューズのつま先のソールが削れてきて、右足の踏み込みに不安が出てきた。シューズを新調すべきか。
つなげると右足の踏み込みが甘くなり、距離が出ないので、左足のスメアを使うもやはり振られが大きすぎて止まる気配がない。
やはり気温が下がらないと厳しいか。
Day12
ナイト。気温が一気に落ちてなんと-2℃。いきなり寒くなりすぎ。
雪が心配だったけど、道すがらは割と大丈夫で、ホールドもリップ上以外はちゃんと乾いていた。
完登は無理そうだけど、練習と割り切ってトライ。
やはり気温が落ちるとよく持てる。3手目は止まりこそしないものの、明らかに右手が持てている。
これはと思いいよいよ繋げトライ。最初のトライからいきなり1手目が止まった。
相変わらずミートさせるのと、持ち直しが難しいけど、何回かやっていると親指を巻けるようになってきて、2手目が寄るようになってきた。
ただやはりギリギリ感は否めず、3手目は中々届かない。
一回一回しっかり皮を冷して、タイミングを見計らってトライ。
1手目のスイートスポットを思い出してきたところで安定して右手が止まって、リップにランジして少し惜しい感じで振られて落ちた。
いよいよここまできた。ただ、このトライで右足を微妙に欠いてしまったので、今後の新たな不安要素が生まれてしまった…
その後も何度かトライするものの3手目は惜しい感じにならず終了。
最後に昨シーズンのムーブを試すとこちらもまた可能性を感じた。
とはいえこれも相変わらず右足勝負なので、今後足が欠けてゆくと厳しくなる気がする。
とはいえ、次回以降も可能性を探っていきたい。
Day13
夕方〜ナイト
二日前に降った雪がかなり残ってたけど、壁は乾いていた。
ハーネスを忘れたのでロープは使えず、下から登ってトラバースしながら雪下ろし。めちゃくちゃ冷たいし、足元が不安定で怖い。次回は絶対にハーネスとグリグリを持ってこないと。
いつもどおり最後の一手から。
前回微妙に右足が欠けたことによって、右足が踏み込めなくなった。
試しに旧テスタでやってみるとこれがハマり、真下に踏めるようになった。
2手目はいつもどおり。やはり右手の引きつけが甘いと足が切れる。
前回一番いいと思った人差し指結晶左に揃える持ち方は今回はしっくり来なかったので、素直に結晶に持つ方針に戻す。
そんで下から繋げ。いきなりランジまで行くも足が抜けてしまう。やはり右足が悪くなってる。
あと中々1手目がちゃんとハマらない。ハマらなくてもギリ行けてしまうけど、3手目で右手が引けなくて、しわ寄せが足にきてるイメージ。
二・三回最後の一手まで行って、今度はスタートの右手が抜け始めた。
あとから思えば、1手目の右手ミートにフォーカスしすぎて、左手の握り込みが甘くなってたと思う。
再び一手目が止まり始めたけど、やはり精度が悪い。ギリギリ過ぎて、左手のスロットに入りきってない。
そうこうしてるうちにスタートの左手がよれてきて終了。うーん厳しい。
流石に寒すぎて体も冷えてしまった。これは反省。
最後に3手目を練習、右足の不確実性は左足で殺せる事がわかった。更にリップにもスイートスポットがあることがわかり、最終的にあまり振られずに3回連続で止めることができた。
いよいよ勝負が迫ってる。次回気温と湿度と指皮は今回よりも良くなる見込みなので、本気で望みたい。
とにかく、面倒くさがらずに、しっかり準備していこう。
Day14
3時に早退していつもよりも早めに岩場へ。
ちょっと風邪気味なのが気になるのと、ちょっと暖かい。明らかに氷点下まで下がっていない。
今回はちゃんとロープを使って上部の掃除から。ただ指男さんが掃除してくれてあったおかげでほとんど掃除はいらなかった。
雪が乗ってない限りは基本的に不要かな。
そんで3手目から。これは2回目で止まってそこそこな感じ。
2手目は右手の皮がまだダレていて安定しない。2回やったけど、左手がミートせずに、3手目が怪しい感じ。
左足蹴るのはいいんだけど、右足とのバランスが難しくて、蹴りすぎてしまうと右足が外れてしまう。あくまでも補助的に捉えたほうがいいのか…
そんで下から繋げ。2手目で落とされる。なんだか感触が良くない。
その後も中々1手目が決まらない。明らかに左手が持ててなくて、安定して取りにいけないのでハマってない感じ。
一回3手目までつながるも、足の置き直しに時間がかかるわ、右手は抜けるわで全く惜しくなかった。
そんで、長めのレストを挟むもどんどん感触が悪くなって、最終的には単発で3手目も止まらなくなって終了。
結構意気込んできただけにかなり悔しい。
でも理由は明確。体も岩もコンディションがあまり良くない。
一昨年のバーデンの時もそうだったけど、やはり風邪気味の時は全然力が出ないようだ。そりゃそうなんだけど、意気込んでいる時にはあまりそうも言っていられないのが辛いところ。
また、スタートのホールドはやはり氷点下でないと皮が負けてしまいこれも厳しい。前回からあまり皮が育っていないこともあり、結果として前回を下回る内容だった。
Day12では一手目がもっと安定してたし、やはり気温がかなり重要だと思われる。
時期的にはまだチャンスはあると思うので、焦らずに体調を整えてから出直したい。
Day 15
一週間開けてまたナイト。
本当は前々日に来るつもりだったものの、また若干風邪を引いてしまって断念。更に前日に雪が降ったが、雪降ろしを敢行した。幸いめちゃくちゃ寒かったおかげでブロワーで全て落とせた。
まずは上の掃除から。雪降ろししたものの、やはり若干降ったらしくまたブロワーで掃除。
気温はなんと-6℃、過去1寒いので、練習と割り切ってトライ。
最初は身体が温まりすぎてて指がぬめってしまい、3手目が全然ダメ。
ある程度冷してなんとか止まるも、今度は寒すぎて弾く感じ。流石に−6℃はやりすぎか。
最初から繋げてみるも、1手目もろくに止まらない。
1手目の精度がここ数回あまり良くない。これは良くないな。
繋げは早々に諦めて、後半の練習に徹することに。
色々細かく微調整を重ねて、3手目の精度を高めた結果、ついに2手目3手目が繋がった。
−6℃でこれだから、ちゃんとコンディションが合えば、しっかりチャンスはありそう。
ただ、やはり右手の人差し指の結晶のダメージはある。比較的皮に優しいとは言っても、蓄積はあるし気をつけたい。
Day16
6時頃着。まだぎりマイナスになるかならないかくらい。
若干気温が上がったからか最初は感触が微妙。3手目は何回かやってようやく止まった。
2手目はいつもどおり、1手目も前回持つ場所を見つけたおかげか割とすんなり。
そんでもって繋げ。一回目からいきなり3手目までつながるも、そんなに惜しくない。
何度か惜しくないトライや、すっぽ抜け、アジャストミスをして、中々いいトライが出ない。
それでも辛抱強くトライ。
かなりいい感じに1手目が取れたトライで、ついに2手目が完璧に取れた。
足をしっかり置き直して、ランジ。足もしっかり踏み込めたけど、なんと取り先を微妙に外して落とされた。
多分過去一番惜しかった。逃してしまったのは悔しいけど、何よりここまでこれたことにテンションが上がる。
結局その後も何回か3手目までは行くも、そこまで惜しくなく、右手の人差し指が削れてきて2手目が安定しなくなって終わった。
とにかくあと一歩のところまで来た。あとは指皮とコンディションの兼ね合いか。
それでもまだまだピースはあるのかもしれない。とにかく粘り強くやろう。
Day17
中一日レストでまたナイト。惜しいところまで来ると止まれない。
ただこれがあまり良くなかったようで、2手目が全然寄らない。中一日だと指も体も全快しないようだ。
全然駄目な雰囲気だったので、2手目3手目の練習に専念することに。これが良かったの今回も2手目3手目がつながった。
一手目の精度はあれど、とにかくかなり希望が持てる。全快させて週末を狙いたい。
Day18
直前に天気予報が変わり、天気は悪め。あとジムで割いてしまった左手の人差し指が気になる。
いつもどおり上からやるも、中々3手目が止まらない。最初中々止まらないのはなぜなのか。
散々やって何とか止めたところで、下からトライ。しかし1手目が全く無理。
ちょっとコンディションも悪いか…とはいえこれはちょっとショック。
何がそんなに良くないのか全くわからないのだけど、とにかく全く無理そうなのまた上の練習。
下である程度やると上の感触が良くなるようで、また2手目3手目がつながった。しかし三手つなげるとなるとこれが難しいんだな…
そうこうしているうちに雪が降ってきて撤退。いよいよ20日が見えてきた…
Day19
土曜のナイト。
いよいよ今日登れないと20日になってしまう。またそろそろ登らないと気温が上がってきてしまうということで、少し焦る。
割と気温が高く、氷点下になっていないので比較的ゆっくりスタート。日付が変わるくらいまでは粘る構え。
何回かやったところでいい感じに右手が入り、いい感じで2手目も止まるも、ランジのときに左足が抜けてしまい飛距離が出ずに振られ落ち。
さらにその次、またほぼ完璧に入って、3手目も良い体制で取りに行くも、やはり振られ落ちだった。今回は取り先もほぼ完璧に入っていただけにかなり悔やまれる。
これまでで一番惜しかったのは間違いないけど、逆にこれでもダメとなると一体どこを直せばいいのか…
その後も何回か惜しいトライはあるものの、止まりそうかと言われればそんなこともなく、日付が変わり気温がちょうどよくなる頃には左手がよれてしまって終了。
確実に惜しくはなっている。次こそは。
day20
ついにday20に到達。こんなにやったのは、それこそエモーションくらいじゃないだろうか。
若干コンディションが悪いのと、皮が回復しきっていないのが気になる。
アップの段階でランジはそこまで悪くない感触だったので、2手目からの繋げを何回か練習しておいた。
止まりこそしなかったものの、感触は悪くない。
下から繋げる。
繋げ1回目で1手目を完全に外すも案外持ちが良く、そのまま2手目が安定して寄った。
気合を入れてランジすると、惜しいところで左手が弾けて落とされた。前回よりも更に惜しかったかもしれない。
これはいいぞと意気込んだけど、ここから何回かすっぽ抜けを発動し。指がどんどんダメに。
また日付が変わる寸前まで粘ったけど駄目だった。
一度すっぽ抜けると指がダメになる。気をつけないと行けないのだけど、如何ともし難いところでもある。
day21
一週間雨でしばらく間が空き、久しぶりにトライ。
練習ではランジが初めて一発で止まった。
気温も低いし、風もある。ただ、少し仕事で疲れ気味なのと、ライトとカメラを忘れたのがすこし気になる。
とはいえ、ここまで来たらそんなことは言ってられない。
しっかり各ムーブを練習し、上部2手のつなげもやっておいた。止まりはしないけど、惜しい感じはある。
しっかり休んで指皮を冷やし、かつホールドを握って指自体は温めておく。この作業もだいぶ慣れてきた。
ホールドをきれいにして、しっかり準備してからトライ。
いきなり1手目がいい位置に入った。2手目は完璧ではないものの、十分入っている。
しっかり右膝を内側に入れてランジ。体が浮き上がる不思議な感覚で止まった。
そのままキャンパで左手を取って、あとは駆け上がった。
ついに登れた。
一人なのをいいことに好きなだけ喜びを爆発させた。嬉しすぎる。
本当に登れて良かった。シーズン初めはまだまだかかると思ってたし。1月はもう登れると思ってたし。2月はまだまだかかるかもと思ってた。とにかく自分の現在地がわかりにくい課題だった気がする。
とにかく保持懸垂への苦手意識をすこし和らげられた気がする。